木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のための

ガイドラインに関連したQ&A(未定稿)

 

 

本Q&Aは、「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」(平成18年2月15日林野庁作成)に関し、これまで関係業界の皆様からいただいた質問に対する回答を取りまとめたものです。

 

■全般的な事項

Q1:違法伐採とは何ですか。

Q2:違法伐採の現状はどのようになっているのですか。

Q3:なぜ、我が国で違法伐採対策に取り組む必要があるのですか。

Q4:日本政府はどのような対策を講じてきたのですか。

 

■政府調達に関する事項

Q5:いつから政府調達において合法性証明をもとめるようになるのですか。

Q6:政府調達とはどの機関が行う調達をいうのですか。

Q7:グリーン購入法に基づく政府調達の対象となる品目はどのようなものですか。

Q8:調達の対象は、合法性、持続可能性の両方が満たされたものなのですか。

 

■定義等に関する事項

Q9:原木の生産される国又は地域における森林に関する法令とは具体的にどのようなものですか。

Q10:持続可能な森林経営が営まれている森林とは具体的にどのような森林なのですか。

Q11:森林認証制度には具体的にどのようなものがあるのですか。

Q12:すべての森林認証制度が合法性、持続可能性を満足しているのですか。

Q13:分別管理は具体的にどのようにすればよいのですか。

 

■証明方法全般に関する事項

Q14:このガイドラインは国内、海外において適用されるのでしょうか。

Q15:このガイドラインに示された証明方法以外は認められないのですか。

 

■森林認証,CoC認証を活用した証明方法に関する質問  

Q16:森林認証を受けた森林から産出された木材が、CoC認証を取得した事業体を通じて納入される場合は、これら事業体はどのように証明すればよいのですか。

Q17:CoC認証を取得していない事業体が認証マークの押印された木製品を取り扱った場合、合法性等の証明はどのようになるのですか。

■団体認定を受けた企業の証明方法に関する事項

Q18:どのような「団体」が事業者の認定を行うことができるのですか。

Q19:「自主的行動規範」には具体的にどのようなことを定めるのですか。

Q20:事業者の「認定等を行う仕組み」とは具体的にはどのようなものですか。

Q21:団体はどのような情報を、どのように公表すればよいのですか。

Q22:どのような証明書を引き渡す必要がありますか。

Q23:森林所有者についても団体認定の必要がありますか。

Q24:納入業者は団体認定の必要がありますか。

Q25:「証明に必要な事項を納品書等に記載することで証明書に代えることができる」とありますが具体的にはどのようにすればよいですか。

Q26:製品に合法性証明書が添付されている場合の取扱はどうなりますか。

 

■企業独自で行う証明方法に関する事項

Q27:「規模の大きな企業等」とは具体的にどのようなものですか。

Q28:「森林の伐採段階から納入段階等に至るまでの流通経路等を把握」とは具体的にはどういうことですか。

Q29:「同等レベルで信頼性が確保」とあるが具体的にどのようなことをすればいいのですか。

 

■その他

Q30:「一定期間保管」とは具体的には何年ですか。

Q31:「証明の根拠を求められた場合」について、具体的にどのような場合に証明の根拠を求められるのですか。

Q32:ガイドラインの見直しはいつ行うのですか。

 

 


【全般的な事項】

Q1:違法伐採とは何ですか。

A: 「違法伐採」の定義について、国際的に確立されたものは存在しませんが、一般的には、それぞれの国の法令に違反して行われる伐採を指すものと考えられています。

 

Q2:違法伐採の現状はどのようになっているのですか。

A: 違法伐採の現状に関する調査報告の例として、インドネシア政府と英国政府との合同調査(1999年)では、インドネシアで生産される木材の50%以上が違法伐採木材であると報告されています。

また、環境NGOは、ロシアから生産される木材の20%が違法伐採木材であり、許可証なしの伐採、許可証の偽造等の行為が横行していると指摘しています。

 

Q3:なぜ、我が国で違法伐採対策に取り組む必要があるのですか。

A: 森林の違法な伐採は、森林の減少・劣化、森林生態系の破壊等がもたらされるのみならず、生産国の政府収入の損失、消費国を含む木材市場の歪曲など様々な問題を引き起こしています(輸出国において不法に伐採されコストをかけずに廉価に輸入される木材は我が国林業等へも悪影響)。我が国は、違法伐採が行われていると言われる国々からも木材・木材製品を輸入していることから、輸入国として責任ある取組を行うことが求められています。

 

Q4:日本政府はどのような対策を講じてきたのですか。

A: 我が国は、1998年の英国でのサミットにおいて、世界の森林に関する行動計画である「G8森林行動プログラム」(違法伐採対策を含む)について合意、また、2000年のG8九州・沖縄サミット以来、「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的考え方に基づいて、違法伐採問題の重要性を一貫して主張してきたところです。

こうした中、違法伐採対策として、木材輸出国における木材トレーサビリティ技術の開発、衛星データを用いた森林状況の把握技術の開発、関係諸国での情報交換、啓発活動の実施、国際熱帯木材機関が実施する違法伐採プロジェクト(木材貿易統計)に対する支援等を行ってきました。

   また、昨年の英国でのサミットの結果を受け、日本政府はグリーン購入法を用い政府調達の対象を合法性等が証明された木材とする措置の導入、違法伐採木材の輸入や取引を止めるための任意の行動規範の策定に向けた各国への働きかけ等に取り組むことを表明しております。

 

  参考1「違法伐採問題について」

参考2「グレンイーグルス行動計画」

参考3「日本政府の気候変動イニシアティブ」

 

 

【政府調達に関する事項】

Q5:いつから政府調達において合法性証明をもとめるようになるのですか。

A: 平成18年度の政府調達からを予定しています。

   ただし、グリーン購入にかかる判断基準の適用については、「平成18年4月1日より前に伐採業者が加工・流通業者等と契約を締結している原木については、4月1日時点で原料・製品等を保管している者が証明書に4月1日より前に契約を締結していることを記載した場合には、合法的な木材であることの証明は不要とする」と規定されており、製品の種類にもよりますが、4月1日以降に伐採され、実際に証明をつけた製品が納入されるのは少なくとも半年後以降になると思われます。

 

Q6:政府調達とはどの機関が行う調達をいうのですか。

A: 国(国会、各省庁、裁判所)及び独立行政法人に加え、政令において定められている以下の法人が該当します。

・日本郵政公社

・日本私立学校振興・共済事業団

・沖縄振興開発金融公庫、公営企業金融公庫、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、中小企業金融公庫及び農林漁業金融公庫

・国際協力銀行及び日本政策投資銀行

・商工組合中央金庫

・日本中央競馬会及び年金資金運用基金等

 

Q7:グリーン購入法に基づく政府調達の対象となる品目はどのようなものですか。

A: グリーン購入法の基本方針(環境省ホームページにも掲載)に記載されている物品が対象となります。具体的には、製材、集成材、合板、単板積層材、パーティクルボード、繊維板、木質系セメント板、紙類(情報用紙、印刷用紙)、文具類、机等の機器類、ベッドフレームとなっています。

 

Q8:調達の対象は、合法性、持続可能性の両方が満たされたものなのですか。

A: 政府調達においては、「合法性が証明されていること」が調達の要件となります。一方、持続可能性については、調達に当たって配慮することが望ましい事項となっており、要件とはなっておりません。

 

 

【定義等に関する事項】

Q9:原木の生産される国又は地域における森林に関する法令とは具体的にどのようなものですか。

A: 国が定める法令のほか、都道府県等(海外においては州等)が定める条例等のうち森林の伐採の制限に係るものを含みます。今回の政府調達のガイドラインは、これら森林に関する法令に着目して違法性を判断することとしています。

Q10:持続可能な森林経営が営まれている森林とは具体的にどのような森林なのですか。

A: 森林(特に個々の森林所有者毎)の持続可能性の定義については、国際的に合意されたものがありません。このため、当面、証明書を発行する者等が、各国の実情、持続可能性に関する議論等を踏まえ、持続可能性が担保されていると合理的に説明できると判断したものについてはこれを満たすものとして取り扱うことを考えております。

なお、例えば、森林認証を取得した森林、森林の取扱(伐採、造林等の施業)に関する計画が持続性の観点から公的に認定されている森林などは、これに該当すると考えます。

 

Q11:森林認証制度には具体的にどのようなものがあるのですか。

A: 我が国では、SGEC(Sustainable Green Ecosystem Council)があり、世界的には主に以下のようなものがあります。

・FSC(Forest Stwardship Council

・PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification

・SFI(Sustainable Forestry Initiative

・CSA(Canadian Standards Association

・LEI(Lanbaga Ecolabel Indonesia

・MTCC(Malaysia Timber Certification Council

 

Q12:すべての森林認証制度が合法性、持続可能性を満足しているのですか。

A: 当面、「森林に関する法令の遵守」及び「持続可能な森林経営のための制度的枠組み」について審査基準に規定されており、証明書の発行者等が合理的に説明できると判断したものは、合法性、持続可能性を満足するものとして取り扱うことを考えています。

 

Q13:分別管理は具体的にどのようにすればよいのですか。

A: 入出荷、加工、保管の各段階において証明材と非証明材とが混在しないよう、例えば場所を限定する、ペンキ等で表示するなどの分別管理の方法を定めて、これに従って実施することが考えられます。

 

 

【証明方法全般に関する事項】

Q14:このガイドラインは国内、海外において適用されるのでしょうか。

A: 本ガイドラインは、当然ながら、内外無差別の原則に立ち、我が国の政府調達に向けて木材・木材製品の供給をしようとする事業者においては、内外を問わず平等に適用されるべきものと考えております。

 

Q15:このガイドラインに示された証明方法以外は認められないのですか。

A: 本ガイドラインにおいては、3つの方法を示していますが、これら以外にも、公的機関が取り組む証明方法、例えば、インドネシアにおいて、森林からの丸太搬出証明書(SKSHH)と連動する形で政府機関(BRIK)が発行する輸出許可証明書により証明する方法などが考えらます。また、これらの方法が組み合わされた形で証明の連鎖がなされる場合もあるものと考えております。

 

【森林認証,CoC認証を活用した証明方法に関する質問】  

Q16:森林認証を受けた森林から産出された木材が、CoC認証を取得した事業体を通じて納入される場合は、これら事業体はどのように証明すればよいのですか。

A: この場合は、分別管理は認証の前提とされていることから担保されており、また、証明書は認証マークが押印された伝票で代用することが出来ますので、特に新たに行っていただくことはないと考えます。

   ただし、納入業者にあっては、調達者の求めに応じ、納入者の納入製品が認証材であることを記述した証明書を提出していただく場合があると考えます。

 

Q17:CoC認証を取得していない事業体が認証マークの押印された木製品を取り扱った場合、合法性等の証明はどのようになるのですか。

A: 認証材については、CoC認証を取得していない事業体が取り扱った時点で認証材として流通させることができなくなります。しかし、この場合においても、例えば、当該事業体が団体認定(合法性、持続可能性の証明された木材・木材製品を供給する取組が適切であることを森林・林業・木材産業関係団体に認定してもらうこと)を受けていれば、CoC認証事業体から引渡を受けた認証材であることを根拠として、合法性等の証明を行うことが可能と考えています。

 

 

【団体認定を受けた企業の証明方法に関する事項】

Q18:どのような「団体」が事業者の認定を行うことができるのですか。

A: 国内、海外を問わず、以下の要件を満たし、そのことを資料等により説明できる団体を考えています。

・定款、会則等を有すること

・団体の意思決定の場(総会等)が確保されていること

・事務局に責任ある職員が配置され業務執行体制が確立していること

・経理を行い、会計監査も行われていること

・継続して活動を行う見込みのある団体であること

・当該分野(業種)に関する知見を有していること

 

Q19:「自主的行動規範」には具体的にどのようなことを定めるのですか。

A: 事業体の認定等を行う仕組みのほか、例えば、違法伐採材は使わない、政府の違法伐採対策への取組に協力する、合法性等の証明された木材・木材製品の普及の促進に努力する、他団体との連携を図るといった業界団体の基本姿勢に関する事項が考えられます。

参考までに、業界団体が作成した「違法伐採対策に関する自主的行動規範(例)」をお示ししますのでご覧下さい(別紙1)。

 

Q20:事業者の「認定等を行う仕組み」とは具体的にはどのようなものですか。

A: 事業者認定の要領を定めていただく必要があります。この中に、事業者からの申請の受付・審査、事業者の認定・公表、実績報告の徴収、立ち入り検査、認定事業者の取り消し等の事項を定めていただく必要があると考えています。

参考までに、業界団体が作成した「合法性、持続可能性の証明に係る事業者認定実施要領(例)」をお示ししますのでご覧下さい(別紙2)。

 

Q21:団体はどのような情報を、どのように公表すればよいのですか。

A: 自主的行動規範(認定に係る要領を含む)とあわせて、認定を行った事業体名、合法性等の証明された木材等の取扱実績の概要などについて公表する必要があります。

公表はホームページ上で行うことなどが考えられます。

 

Q22:どのような証明書を引き渡す必要がありますか。

A: 参考までに、業界団体が作成した「合法性、持続可能性証明書(例)」をお示ししますのでご覧下さい(別紙3)。

 

Q23:森林所有者についても団体認定の必要がありますか。

A: 森林所有者については、森林の伐採に関する手続を適法に行ったことを示す公的な書類があれば、これを根拠として合法性等の証明を行うことができます。この場合には、業界団体が森林所有者の認定を行う仕組みを作る必要はないものと考えています。

 

Q24:納入業者は団体認定の必要がありますか。

A: 納入業者は政府と合法性等の証明材の納入に関する契約に基づき納入することから、証明に関する責任を有します。納入業者は調達者に証明書を提出し、求めに応じて説明を行うこととなりますので、特に団体認定の仕組みを用意する必要はないものと考えます。

 

Q25:「証明に必要な事項を納品書等に記載することで証明書に代えることができる」とありますが具体的にはどのようにすればよいですか。

A: 納品書に、団体認定番号、合法木材であること等を記入、あるいは押印することを考えております。

参考までに、業界団体が作成した「納品書等を活用した証明書様式(例)」をお示ししますのでご覧下さい(別紙4)。

 

Q26:製品に合法性証明書が添付されている場合の取扱はどうなりますか。

A: 証明に必要な事項が記入された証明書が梱包等が行われた製品に貼り付けられ、又は印刷されている場合で、これを購入した事業者(A)がこれの引き剥がしや開封を行うことなく次の事業者(B)にそのまま引き渡した場合は、Aの事業者は新たに証明書の発行やこれに係る書類管理を行う必要はないと考えております。また、この際、Aの事業者は団体認定を受けている必要もありません。

 

 

【企業独自で行う証明方法に関する事項】

Q27:「規模の大きな企業等」とは具体的にどのようなものですか。

A: 規模の大きな企業に限定しているわけではありません。中小企業であっても森林の伐採段階で手続きが合法に行われていることや、その後の流通段階で分別管理が適切に行われていること等を把握できることなどにより合法性の証明を行うことは可能であり、当該方法による証明を行うことができるものと考えています。

 

Q28:「森林の伐採段階から納入段階等に至るまでの流通経路等を把握」とは具体的にはどういうことですか。

A: 例えば、以下の方法により“流通経路等を把握”することが可能と考えられます。

@納入業者等が伐採から受入れに至るまでの各段階の事業者と合法証明材の供給に関する協定(伐採に当たっての法的手続、分別管理・書類管理体制の確保、公表等を含む。)を締結

A納入業者等が伐採から納入までの各段階の事業者が発行したすべての証明書(分別管理の実施状況を含む)の写しを保有

 

Q29:「同等レベルで信頼性が確保」とあるが具体的にどのようなことをすればいいのですか。

A: 合法性の証明を行うためには、Q28で記述した取組により流通経路を把握することに加え、団体認定方式と同様に、各事業者においては分別管理や書類管理の適切な実施を担保する行動規範の作成、取組状況の監査(第三者が望ましい)、及びこれらの公表いった取組により、証明の信頼性を確保する必要があると考えています。

 

 

【その他】

Q30:「一定期間保管」とは具体的には何年ですか。

A: 会計法上、国と国以外の者の金銭債権の時効は5年となっていますので、事業者は5年間は保管しておくことが望ましいと考えています。

 

Q31:「証明の根拠を求められた場合」について、具体的にどのような場合に証明の根拠を求められるのですか。

A: 調達者の判断によりますが、基本的には他の調達物品と同様に、合法性等を疑うべき合理的な理由がある場合(特定の製品の合法性に証拠を持って疑念が指摘されるなど)には、証明の根拠となる書類を求めることになるものと考えられます。この際は、納入業者が証明の根拠となる書類を整備の上、責任をもって説明を行う必要があります。

 

Q32:ガイドラインの見直しはいつ行うのですか。

A:平成18年度のできる限り早期に、木材関係業界団体、環境NGO、学識経験者等で構成される協議会を設置し、業界団体による自主的取組の実地検証等を行いつつ、さらに実効性が高いものとなるよう検討を行うことを考えています。